NOVEL
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2024-08-15 16:00:19
32話:ニセモノの視認
寒空の下、息が切れる程に足を動かさないといけない状況というのは限られている。それが例えば約束に遅れそうだとか、そういう理由ならせいぜい相手に怒られるだけで済んだだろう。でも生憎、今のオレにはそんな相
2024-08-15 15:56:09
31話:ニセモノは逃げ切る
矛盾していると思われるかもしれないが、それは黒くありつつも光を帯びているようだった。例えるなら、まるでファンタジー世界にでも来てしまったかのようで、現代社会に生きているだけなら、まず目にすることはな
2024-08-15 15:51:48
30話:ヒミツの有限
夕暮れの帰り道は、まだ夏の気配があった。学校が終わってから一時間ほど時間が経ったというのにまだ日は落ちていないし、秋の気配はまだ感じ取ることが出来ない。どうせなら早く涼しくなればいいのに、いつまでも
2024-08-15 15:47:36
29話:ヒミツと疑心
昔話は好きではない。なんせこれまでろくなことがなかったし、面白かったことはおろか楽しかったことすらもろくに覚えていない。しかしそれとは引き換えに、余りよくないことは比較的鮮明に覚えているものである。
2024-08-15 15:45:59
28話:ヒミツに触れる
一学期の期末テストが終わったということは、次に待ち受けているのは一体何か? (……暑い) そう、一か月という長いだけで殆ど意味を成さない夏休みである。 太陽の熱射と、アスファルトから伝う熱気
2024-08-15 15:44:26
27話:ヒミツが溶ける
中間テストが終わってから、約一ヶ月半と言ったところだろうか? 「テスト! やっと終わりましたねぇ……オレはもう帰りたい」 「じゃあ帰れよ」神崎さんは、いつものように橋下さんに悪態をついた。 「イヤ
2024-08-15 15:31:53
26話:ヒミツと正直者
あの学校の喧騒は一体どこへやら、家の中はとても静かだった。特に僕の部屋の中は、耳を澄ませると僕の呼吸音すら聞こえるくらいだ。 「やっぱり綺麗だな……」 気付けば僕は、テストの問題用紙を見つめな
2024-08-15 12:25:09
25話:ヒミツの攻防戦
下駄箱を通り過ぎてすぐの廊下が、いつにも増して騒がしい。いつもなら怪訝に思いながらも特にどうというわけでもなくすぐに通り過ぎるところだけれど、今日だけは違った。高校生になって一度目のテストが終わり、
2024-08-15 12:19:13
24話:ヒミツのやり取り
一階の図書室に辿り着くまでの間は、比較的スムーズだった。橋下さんが僕の荷物を持っているせいで、ついていくしか道が無くなってしまったのが一番の要因だろう。鞄を奪い取るという選択肢もあったのだろうが、そ
2024-08-15 12:12:30
23話:ヒミツの容認
高校入学というのは、思いのほかあっけなかった。同じ学校から来たらしい人や、見たことのある気がする人は見かけたものの、だからといって話すということにはならなかったし、それこそクラスには特別知り合いとい
2024-08-15 12:10:07
22話:ヒミツはない
「ようやくね、落ち着いたよ」 病室に響く伯父さんの声は、いつかに聞いた時よりもかなり疲れていたようだった。 今日は日曜日だからなのか、伯父さんは朝から病室を訪れてくれていた。事件があったあの日か
2024-08-15 12:08:34
21話:ヒミツは歪む
案内人さんは、神崎さんの部屋の名前を相思鼠といった。聞き馴染みのない色の名前を、僕は心の中で反復する。少し暗いグレーがかった色ではあるものの、決して重たい印象はなく寧ろ優しい印象すら覚えてしまう。神
2024-08-15 11:34:35
20話:誰も目には映らない
――今から約一週間ほど前、『神崎 拓真』という人物が車に轢かれる交通事故があった。同学年の『宇栄原 渉』が駆け付けた時には既にことは終わっていたらしく、手にしていた携帯電話で救急車と警察を呼んだとの
2024-08-15 11:33:28
19話:事後報告
切れ切れになった息が、オレの横を通っていく。それが一体誰の発している吐息なのかというのは、さして重要なことではない。何故なら、それが一体誰かということなんて既に分かりきっていることであって考えるまで
2024-08-15 11:31:12
18話:教えたくないこと
少しだけ、時間が空いた。 それは感覚的なモノではなく、おおよそ一か月の時は経っていた。決して何かがあったわけではなく、単純に夏が過ぎたのだ。だから、わたしが再び図書室に足を運ぶのにはある程度の時間
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