NOVEL
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2024-08-13 18:03:19
22話:相反した言動
アルセーヌの隣というのは、いつにも増して酷く落ち着かなかった。何度もアルセーヌの様子を伺って目を泳がせてしまうし、それでもアルセーヌはオレの言葉を待ってくれるし、上手いかない説明はアルセーヌが質問し
2024-08-13 18:00:54
21話:行動力の限度
買い物の帰り、特別目移りすることなく市場の中を歩いていく。紙袋独特の擦れた時の匂いが鼻を掠めていくのには、もうすっかりと慣れてしまっていた。 今日の市場はいつもとさして変わらない。事件があってから
2024-08-13 17:59:31
20話:懇篤の罠
カラカラと、店の扉が開かれる音がする。客が訪れた合図に、その場にいたオレとおじさんは示し合わせたかのように音のする方へ顔を向けた。 「……こんにちは」 「え……?」 そして、間抜けな声をいの一
2024-08-13 17:56:08
19話:情報補正
レズリーの家を後にしてからというもの、クレイヴはオレを連れて図書館へと足を運んだ。図書館に入った時、この前と同じように受付に同い年くらいの人物が居たのだが、本に視線を落としており目が合うということは
2024-08-13 17:45:40
18話:孤独に別れを告げられない
――この日は、とても静かだった。 落ちる日の光粒を眺め、特に何をするでもなく誰も居ない庭を静観するだけの時間を送っていた。時に昔のことに思いを馳せ、それがまるで現実であるかのような錯覚に陥りながら
2024-08-13 17:42:21
17話:巣食われた
オレとリオ、ひいてはリアと知り合ったのは約半年ほど前のことである。貴族と市民なんて話すこともないだろうというある種の固定概念をなくしたのは紛れもなくこの時だったが、この二人意外の市民と会話をするとい
2024-08-13 17:41:07
16話:記憶の際限
「ええー! 深淵に追われてる市民に会った!?」 「うっさ……」 家の中が騒がしくなる時というのは、いつ何時も降って湧いてくるこの男のせいである。少々オーバーに感じる程に声がデカく感じるのは、ことの
2024-08-13 17:35:45
15話:振り向き様の異変
昔話に花を咲かせるなんていうことがこれから先起こるとして、恐らくこの半年ほど前の話は話題に上がらないだろう。何故なら、全くもって面白みがないうえに当の本人に喋る気が全くないからである。 「お前、い
2024-08-13 17:34:32
14話:甘味に紛れた毒の味
「どうすっかなー……」 とある看板の前。街中でひとり佇んでいるのには、理由があった。 無難にチョコでもいいけど、ストロベリーも悪くない。いつもは迷えばキャラメル一択なのだが、今この瞬間の気分では
2024-08-13 17:30:31
13話:仕組まれた不戦勝
――路地裏での事件、また起きたんだって? ――どうやら警察もあまり動いていないらしいし、貴族がらみだっていう話じゃないか。 ――魔法が使われているなんて、貴族の中に犯人がいるんじゃないの?
2024-08-13 00:12:33
12話:深淵を纏わない誰かの声
そろそろ日差しも落ちる準備を始める頃、雑踏の蔓延る市場の中で、オレともうひとりは特に何をするでもなく道を行き交う人らを眺めていた。 「お兄ちゃーん」 「んー?」 「暇だね」 「まあ……そうだね」
2024-08-13 00:11:18
11話:仕返しのウラ
足元に流れてきた枯れ葉が、僕の周りに数枚集まってくる。もうそんな時期になるかと思いながら、手の指が無機質な機械に触れた。そうすると聞こえてくるのは、僅に耳に入る呼び出し音。僕は、それをいかにして耳に
2024-08-13 00:10:04
10話:修復不可
ひと家族が住むにしては大きすぎる家。大きいだけで特に意味を持たないそれの中に、まるで当たり前のように住んでいる人間というのは、ある程度相場は決まっているというもの。だからというわけでもはないけど、世
2024-08-13 00:09:13
09話:真実の在処
ガチャリと玄関のドアが開く音が聞こえる。それはこの家の主が帰ってきたということの表れだった。 「あ、帰ってきたのかな……」 私がそう言葉を溢してすぐ、何かが落ちるような大きな音が家中に響く。突
2024-08-13 00:08:12
08話:蔓延る矛盾
「……ここかい? キミが来たという場所は」 「た、多分……」 「確かに、同じ場所とは思えない程に綺麗だね」 辺りを見回すと、さっきとは景観が全く違うのがよく分かる。綺麗に整備された庭が、そこにはち
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