NOVEL
< TOP
2024-08-13 00:07:27
07話:消えない光
いつもと同じ量のそれは、ドサリと重い音を立てて腕にのし掛かる。 「じゃあ、また来てね」 「う、うん……ありがと」 五人分のご飯となれば、そうなるのも当たり前ではあるけれど。面倒かと聞かれれば、
2024-08-12 23:50:52
06話:犯人はいない
この時間、午後と呼ぶに相応しい時刻になると、僕の周りには環境音が蔓延り始める。 「……はい。……じゃあ、今日から一週間なので」 今日は、図書館にとっては休みの次の日に当たる為、平日に比べれば多
2024-08-08 23:35:20
05話:その言葉は真実か
「今日も静かだな……」 ひとりしかいないのに言葉を溢してしまうのは、寂しいからとかそういうことではなく、きっと誰もいないからこそなのだろう。その言葉は、誰にも認知されることなく消えてしまう。頬に優
2024-08-08 23:32:24
04話:文字に囲まれた者
薄暗い部屋は、どうしてか僕の落ち着かせる。その空間に包まれながら、何を考えるでもなくひとり静かに定位置である窓枠に座り、目を閉じていた。窓から射し込むいくつかの小さな光が、辛うじて僕のことを捉えてい
2024-08-08 23:30:01
03話:壊れた光
――辺りは、眩しい光に包まれている。 目を開けることが出来ないくらいに、オレの周りには光が蔓延っているのが分かる。あの人は、オレを元の場所に戻してくれると言った。光が収まるのを待って目を開けたその
2024-08-05 23:17:20
02話:静けさの狂気
「何ここ……」 振り向いた視線の先には、オレを呼んだであろう人物は誰一人としていない。それは、街の人も例外ではなかった。 さっきまでいたはずの子供も、貴族の噂をしていた大人達の姿も、何処にもいな
2024-08-05 17:47:48
01話:耳障りな音飛沫
ぺらり、と静かな店に響く新聞をめくる音は、誰の耳にも止まることなく地面に零れ落ちた。特になにを読んでいるという訳ではないが、今のオレは他にすることが無いのである。 「……暇だ」 そう、簡単にい
1
2
戻る