NOVEL
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2024-08-15 11:34:35
20話:誰も目には映らない
――今から約一週間ほど前、『神崎 拓真』という人物が車に轢かれる交通事故があった。同学年の『宇栄原 渉』が駆け付けた時には既にことは終わっていたらしく、手にしていた携帯電話で救急車と警察を呼んだとの
2024-08-15 11:33:28
19話:事後報告
切れ切れになった息が、オレの横を通っていく。それが一体誰の発している吐息なのかというのは、さして重要なことではない。何故なら、それが一体誰かということなんて既に分かりきっていることであって考えるまで
2024-08-15 11:31:12
18話:教えたくないこと
少しだけ、時間が空いた。 それは感覚的なモノではなく、おおよそ一か月の時は経っていた。決して何かがあったわけではなく、単純に夏が過ぎたのだ。だから、わたしが再び図書室に足を運ぶのにはある程度の時間
2024-08-15 11:29:43
17話:未共有事項
学校に訪れるいつもの放課後。おれは、教室を抜けて図書室へと歩みを進めていた。今日は、特別拓真達と約束をしているとかそういう訳ではない。いや、元々約束なんてしたことは一度もないのだから、気にする必要な
2024-08-15 11:24:43
16話:夕空に浮かぶ嘲笑
「先輩、これ何に見えます?」 「なにこれ……。いやなにこれ、全然分かんないんだけど」 「えー、どう見たってウシさんじゃないですか」 誰かの雑談が、わたしの耳に入ってくる。だからといって特別どうとい
2024-08-15 11:21:40
15話:有限の時空は存在しない
橋下君と再開してから数日後の放課後。おれと拓真は、いつものように当たり前かのように図書室に足を運んでいた。ただ、ひとつだけ状況がいつもと違う。 「もう一月も終わるじゃないですか。もう一回くらい雪降
2024-08-15 11:19:56
14話:陽気な声は聞こえない
橋下君と出会ってから数日、特に何事もなく一日一日が過ぎていった。 「読むの飽きた……」 それを証明するかのように、おれと拓真は放課後の図書室にいる。用が無いのならさっさと帰ればいいものを、当た
2024-08-15 11:02:46
13話:不可思議に映ったもの
あれから暫くして、おれ達は高校生になった。 別にだからといって何かが変わったわけでもなく、言ってしまえば、それこそ小学校の時から状況は余り変わっていない。それはつまり、単純にそれなりに平和だったの
2024-08-15 10:39:04
12話:知られてはいけないこと
もし、おれが幽霊なんて見えないなんてことない普通の人間だったら、一体何が変わっていただろうか。そう思うことが少しずつ増えていったのは、ある種当然だと言っていいのだろう。 正直なところ、それらが見え
2024-08-15 10:05:07
11話:視えないものは何もなかった
事実は小説より奇なりとはよく言ったもので、いつだって現実は非現実的だ。あり得ないと思っていたことがあり得たり、そんなはずはないという固定概念に囚われて、目の前にある真実に気付かない場合だって往々にし
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