カラールーム

気がつくと一面が白に包まれた空間に足を踏み入れていた主人公の相谷 光希は、自身を支配人と名乗る人物に出会いホテルのような場所に案内される。
そこで出会う知り合いを介して、彼は置いていくつもりだった自身の記憶と、取り戻せない今を見つめていく。

とある登場人物の四人それぞれに焦点を当てて描かれる、静かな優しさで溺れる物語。


第一章:非現実的な事象ほど現実味に溢れている

何色にも染まることのないこの空間は、まるで誰かを待ち惚けているかのように静寂を蔓延らせている。そんな面白みに欠ける空間に訪れた三人の客人は、どうやらかなりの「訳あり」らしい。

第二章:振り向いた先には誰もいない

神崎が思い描く過去に起きた出来事というのは、なにも相谷らのことだけではない。しかし、神崎の本当の想いはその思い返した部分には存在しないようである。

第三章:敢えて言うなら、誰も人の心情は見えない

人々が過去に想いを馳せている間も、時間は止まることを知らない。現実世界にひとり残された宇栄原は、誰にも言えない「何か」を抱え、とある人物を探す決意をする。

第四章:それは恐ろしく脆く柔い

記憶というのは酷く曖昧なもので、どうせなら本当に消してしまいたい記憶だけが消えればいいのにと願わずにはいられない。相谷が記憶から消したそれらが果たして一体何を意味するのかというのは、もう誰にも分からないだろうが。

第五章:とりとめのない日常の中にある綺麗事

他の人物がどう思っているのかは知らないが、出会った経緯は余り望ましいものではなかったものの誰かと一緒の時間は存外嫌ではなかったようである。だからこそ、いっそ自分の記憶も無くしてくれればよかったのにと、彼はそう考えているらしい。

最終章:まだ胸に秘めていること

今回の客人は、ワタシにとって特段思い入れがあるわけではない。この場所に限って言うのならごく一般的な客人であることに変わりないのだが、同時に彼らが特異点であるということも忘れてはならない。我々の今後を大きく左右することとなる客人が帰る時間は、静かに、しかし確実に迫っているようだ。

番外:きっともう

もう起きることのない日常に思いを馳せることが出来るのは、まだそこに存在している「誰か」の特権であるに違いない。

(※番外は全てノベルゲームです)

何もない部屋